リセスインナー

リセスインナー®

リセスインナー®は、ボルト駆動部の穴(リセス)に装入することで、ボルトが不正に取り外されることを抑制する製品(関連:いたずら防止ねじ)です。機械やシステムに対する破壊・分解のリスクを低減して安全性を向上するために開発されました。ボルトの不正な取外しを防止して機械やシステムに対する破壊・分解のリスクを低減するだけでなく、六角穴に塵埃が入ることを抑制したり、ボルト着脱の権限・可否を識別することも可能です。従来の六角穴付きボルトを変更せずに適用することができ、標準化を支援します。

特徴の異なる3タイプ(BARNACLE・FLAT・PLASTIC)をラインアップしており、さまざまな目的に応じたインナーをお選びいただけます。ステンレス製の「バーナクル」と鋼製(ステンレス色めっき)の「フラット」は専用工具で取外しが可能で、樹脂製の「プラスチック」は取り外された場合に痕跡が残ります。「バーナクル」はステンレス製であるため防錆性が高く、「フラット」は平坦であるためデザインに配慮した箇所への利用に好適です。「プラスチック」は白と黒の2色があり、白色は主に室内または工作機械への使用を、黒色は主に屋外での使用を想定しています。

不特定多数が往来する場所の装置・設備(公園遊具・窓格子・ナンバープレート等)、工場・屋外などの塵埃のある場所、非権限者に取外されたくない機械・装置の部分(金型の位置決め部・精密機械のコア部等)等、様々な箇所・用途で安全・安心を提供します。

リセスインナー®Webショップ販売対象です。

本製品のカタログをご希望の方は、アヅマネジにお問い合わせいただくか、外部Webサイト「IPROS」(運営会社:株式会社イプロス)からダウンロードすることができます。本製品のカタログは、「代表カタログ」と「工作機械向けカタログ」の2種類があります。

採用事例:公園設備の損壊防止

公園にあるベンチの肘掛が不正に取り外されたり、遊具が不正に分解されることを防止するために、リセスインナー®のFLATタイプとPLASTICタイプ、いたずら防止ねじ(TRF®)が採用されました。

採用事例:切削加工の段取短縮・安全性向上

工作機械において治具や金型を固定するために六角穴付きボルトが多く使用されますが、切削加工機械では切粉が穴部に溜まるため、エアブローガンでの清掃が頻繁に行われます。エアブローガンでの清掃は時間がかかるだけでなく、飛散した切粉や加工油によって作業者やその着衣が負傷・汚損したり、目に入った場合には特に大きな事故となる恐れがあります。このようなことを改善するためにPLASTICタイプが採用されました。

性能試験例:耐衝撃性

リセスインナー®の耐衝撃性能(六角穴付きボルトに装入された状態で衝撃が付加された場合の脱落しにくさ)を把握するために、JIS C 60068-2-27に基づく衝撃試験を実施しました。試験の厳しさは繰り返しのない衝撃(3回ずつの衝撃)とし、ピーク加速度が500 G、作用時間が1.25 ms、パルス波形が正弦半波の衝撃をリセスインナー®が脱落しやすい方向に加えました。結果、すべての種類・サイズのリセスインナー®は六角穴付きボルトから脱落せず、ずれることもありませんでした。なお、試験は室温だけでなく耐熱性(110 °C)・耐冷性(−40 °C)試験後のリセスインナー®についても実施し、同様の結果が得られました。

性能試験例:耐振動性

リセスインナー®の耐振動性能(六角穴付きボルトに装入された状態で振動が付加された場合の脱落しにくさ)を把握するために、ボルト締結体向けの振動試験規格であるDIN 65151およびDIN 25201(ISO 16130)に基づく通称ユンカー式振動試験機を用いて試験を実施しました。ユンカー式振動試験はボルト締結体の振動に対するゆるみ防止性能を定量化するものですが、ここではボルトがゆるむまで振動を加えたあとのリセスインナー®の状態を観察しました。結果、実施したすべての種類・サイズについて六角穴付きボルトから脱落せず、ずれることもありませんでした(試験機の仕様によりH14は実施不可、H4は簡略化して実施)。なお、試験条件は、初期軸力を保証荷重(JIS B 1051)の75 %(締付けトルク100 Nmを上限)でボルトを締め付け、振動数12.5 Hzの振動をボルト軸直交方向に付加しました。ボルトが完全に緩まない場合は、初期軸力が−50%となり、かつ、2,500サイクルを経過するまで振動を付加した時点で終了しました。

性能試験例:耐候性

太陽光や雨水がリセスインナー®に及ぼす影響を把握するために、JIS D 0205に基づく促進耐候性試験(WAN-1S)を実施しました。試験条件は、放射照度が78.5 W/m2(300~400 nm)、ブラックパネル温度が63 °C±3 °C、湿度が50 % ±2%、噴霧条件が60分中に12分間とし、400時間の試験を実施しました。結果、PLASTICタイプ(白色)の表面にひび割れが認められましたが、他のリセスインナー®に変化は認められませんでした。なお、この条件の場合、400時間は日本の平均的な日射量(紫外部)から換算すると約4.4ヶ月の屋外暴露に相当します。その他、PLASTICタイプ(黒色)については、屋根のない屋外水平面に約14ヶ月設置しましたが変化は認められませんでした。

  • 試験前後

性能試験例:耐熱性・耐冷性

リセスインナー®の耐熱温度・耐冷温度を把握するためにJIS S 2029に基づく恒温槽を用いて耐熱性・耐冷性試験を実施しました。恒温槽に供試品を入れてから1時間加熱(または冷却)したあと、常温で30分放冷(または2時間放温)し、変化を観察しました。使用した恒温槽の限度値である−40 °Cから+120 °Cまでの範囲で実施した結果、どの温度においても変化は認められませんでした。以上より、家庭用品品質表示法に基づく耐熱温度は+110 °C、耐冷温度は−30 °Cとなります。

  • 試験後(110 °C)

性能試験例:耐食性

リセスインナー®自体の耐食性を把握することだけでなく、ボルトが錆びた場合にリセスインナー®が装着された六角穴部の状態を観察するためにJIS Z 2371に基づく中性塩水噴霧試験を実施しました。温度が35 °C±2 °Cの噴霧室内にリセスインナー®を装入した黒染のボルトを入れ、水温が47±2 °Cで塩濃度が50 g/L±5 g/Lの液体を120時間噴霧しました。結果、FLATタイプには白錆が発生しましたが、他のリセスインナー®に変化は認められませんでした(PLASTICタイプの変色はボルトの赤錆が付着したもの)。ボルトは試験開始後4時間経過時点で赤錆が発生し、24時間経過時点では腐食面積が50 %程度でした。ボルトの六角穴の面取部に赤錆が発生したため若干の抵抗があるものの、リセスインナー®を適正に取り外すことができました。また、リセスインナー®が装入されていた場合にはボルトの六角穴の底部には錆が発生しておらず、ボルト用の工具を適正に装入することができました。

  • 試験前

  • 試験後

  • 試験後

性能試験例:耐薬品性

PLASTICタイプの耐薬品性(耐油性)を把握するために、実際の切削加工機械内のボルトに据え付けて経過を観察しました。外観について、6ヶ月経過時点(白色・黒色)と18ヶ月経過時点(白色)のともにひび割れは認められませんが白色では変色が生じました。性質について、弾力性の低下は経過時間・色によらず定性的には認められませんでした。

  • 試験前後(白色)

  • 試験前後(黒色)